書籍

『アンニョン、エレナ』 キム・インスク

Woman's Best 4 韓国女性文学シリーズ1
『アンニョン、エレナ』 안녕, 엘레나
金 仁 淑キム・インスク 著
和田景子 訳

四六判並製、240ページ
定価:本体1,600円+税
ISBN978-4-86385-233-4 C0097

装幀 宮島亜紀
装画 寺澤智恵子

韓国で最も権威ある文学賞、李箱イサン文学賞など数々の賞に輝く金仁淑の日本初出版

遠洋漁船に乗っていた父から港、港にエレナという子どもがいると聞かされた主人公は、その子らの人生が気になり旅に出る友人に自分の姉妹を探してくれるように頼む「アンニョン、エレナ」。生涯自分の取り分を得ることができなかった双子の兄と、何も望むことなく誰の妻になることもなく一人で生きる妹。その間ですべての幸せを手にしたかに見えながらも揺れ動く心情を抱えて生きる女性の物語「ある晴れやかな日の午後に」のほか珠玉の短編、7作品。

「金仁淑が描く女性たちは、この“言葉にならない苦痛”の蠢きを、全身の細胞のあちこちに、地雷のように隠し持っている存在だ」 ― 本文解説より

2016年9月上旬全国書店にて発売。

著者プロフィール

金仁淑 キム・インスク
1963年、ソウル生まれ。延世大学新聞放送学科卒。1983年、朝鮮日報新春文芸に選ばれ、創作活動を始める。小説集に『共に歩む道』、『白刃と愛』、『ガラスの靴』、『ブラスバンドを待ちながら』、『その女の自叙伝』、長編小説に『血縁』、『炎』、『79—80年の冬から春の間』、『長い夜、短く近づく朝』、『だからあなたを抱きしめる』、『シドニー、その青い海に立つ』、『遠き道』、『陰、深い場所』、『花の記憶』、『偶然』、『ポンジ』などがある。韓国日報文学賞、現代文学賞、李箱文学賞、イス文学賞、大山文学賞などを受賞。

訳者プロフィール

和田景子 わだ・けいこ
1971年生まれ。日本エディタースクールで学んだ後、出版社勤務。
通勤時間を利用して始めた韓国語の音が好きになり、韓国のラジオや放送を視聴し始める。
2008年、延世大学語学堂短期留学、2009年、第八回韓国文学翻訳新人賞(佳作)受賞。
「コーリング・ユー」(「たべるのがおそい」vol.1)翻訳。

収録作品

「アンニョン、エレナ」
「息―悪夢」
「ある晴れやかな日の午後に」   
「チョドンオク、パビアンヌ」
「その日」  
「めまい」   
「山の向こうの南村には」
       
解説 「口」のない存在の傷はどこへ流れていくのか
              文芸評論家 チョン ヨウル